副院長の別府幸岐です。
今回は「玄米食」についてです。
結論から言いますと、「玄米は食べたほうが良い」が私の意見です。
以下がその理由です。
ご存じのとおり、玄米は米から籾を取っただけの状態で、これをさらに精製し糠部分を取り除いたものが、白米です。
「玄米食が良い」と、以前から言われています。
これは、食物繊維、ビタミンB、ビタミンE、鉄、カルシウムなどが糠に含まれ、精米することでこの栄養分を捨ててしまう事になるからです。
しかし、これらの栄養分は他の食物からも摂れるので、「無理に玄米を食べなくてもいいのでは?」とも思えます。
また、玄米食を否定する意見として、残留農薬が多い、フィチン酸(ミネラル吸収を妨げる)やアブシジン酸(ミトコンドリアを障害)が多い、等があることも事実です。
私自身も以上の様な否定的な意見や、玄米を炊く面倒くささから、白米で良いのではと思っていました。また、「玄米さえ食べればいい」とは「玄米信仰」のようで、エビデンス(証拠)を欠いた意見のように感じていました。
ところが、逆私の様なめんどくさがり屋が心のより所としてしまう、研究を知りました。
玄米の重要な成分に「γ‐オリザノール」があります。
「γ‐オリザノール」はほぼ糠に特有の成分です。
これが、メタボリックシンドロームの予防に一役買う可能性が高いようです。
現在の日本の食事は「ジャンクフード」、言い換えれば「高脂肪食」とも言えるでしょう。
「高脂肪食」や「精製砂糖」は薬物依存のように、満足するため摂取量が増えていく作用があります。こうして過食になり、メタボリックシンドロームに陥る危険性はとても高くなります。(「脂質」と「精製砂糖」が過食を招く機序はここでは控えます。)
実験により、γ‐オリザノールを混ぜたエサを与えられたネズミは、「脂質」による過食のメカニズムをリセットされ、食事摂取量が減る、つまり正常に戻ることが確認されました。
つまり、人においてもγ‐オリザノールを摂取することにより、過食を予防しメタボリックシンドロームを予防できる可能性があるのです。
この事は、特にコンビニやファーストフードに慣れた子供達にとって重要なことです。
そこで、めんどくさがり屋の私は「玄米さえ食べとけば、現代社会の食問題をリセットしてくれるのでは!!」と玄米食に走りました。
もちろん、残留農薬の問題はあるので、できれば信頼できる所からの購入が良いでしょう。
また、フィチン酸やアブシジン酸は、1晩水につけ十分吸水させ発芽させることで軽減できるようです。